発展する西宮 戸建てへの期待

居間のつくりは客が来た時の唯一表向きの見せ場としてできている。
むしろ本音では客間の発想に近い。
当然のことだが普段は使いにくい。
とても家族のリビングどころではない。
片付けも大変だ。
そこでリビングに比べ、狭くない子供部屋に子供たちを押し込む。
子供部屋や寝室はいわば裏方となる。
裏方は表のモノがどんどん流れ込んでくるために狭くはできない。
したがってリビングは永遠に広くはならない。
結局、リビングも寝室もすべて中途半端でとても落ち着いた場所にはならない。
子供部屋もそこで遊びグセがつくと、勉強のための部屋とするには相当の無理がある。
それが今の住まいの実情だ。
わが国の住まいは、こうしてなんとか裏と表でやりくりしているようだが、このアラは日本を訪れているほとんどの外国人には見えているようだ。
いつまでもごまかしは許されない。
狭い住まいでは表も東もない。
すべて表となる。
リビングは家族が常に居る間であり、いつ来客があっても通せる問であればよい。
そのためにはリビングを少しでも広くしたい。
2LDKのアパートであれば六畳の子供部屋を三塁、いや寝かせるだけなら一・五畳にしてもよい。
夫婦の寝室も同じことが言える。
広くなったリビングに趣味の物や書斎机を持ってきて、夫婦で広々と使うとすると子供たちも自然に集まってくる。
こうすると誰がいつ来てもリビングは活気あふれる家族のスペースであり親しさも増す。
狭い寝室も子供の寝場所も部屋の用途がはっきりしてスッキリする。
季節はずれのモノや衣服は安いトランクルームに預ければ住まい全体がさらに広々として、人に見せたくなるほどだ。
落ち着かない和洋折衷リビングわが国の夫婦は、どうも大人のための「社交型」住まいづくりが不得意のようである。
あまりにも子供を優先しすぎて、つい、夫婦が楽しむことを二の次、三の次にしてしまうからだろう。
こういう状態を〝家族のリビング〟だとか〝団らん〟などといったキレイゴトで片づけてしまってはいけない。
もう少し突っ込んで夫婦の意味、その日的、そして楽しみ、夢、遊びとどんどん追求してみたいものである。
欧米人の夫婦が夢みる八十日間世界一周の豪華船旅行が良い例で、それを子育てのさなかに思いめぐらすのが彼らのすばらしいところだ。
もちろん、日常生活においても子供を早い時間にやすませて大人だけのパーティを開催したり、幼児を背に乗せて夫婦であちこち小旅行に行く。
こんなアクティブな欧米人のライフスタイルに、日本人のニューファミリーは近づきつつある。
リビングに目立った家具を置かず、床にべたっと坐るフロアライフや、LDKの中心にアイランド型キチンを据えるなど、そのバリエーションは豊富である。
ひところのふかふかのソファーセットに比べ、かなりシンプルにもなっている。
が、なぜか、しっくりいかない。
なんとなく劇をやっているような感じがするのは今も昔も変わらない。
欧米風のインテリアのモダンさがそうさせるのかと思えば必ずしもそうではなく、反対に囲炉裏を中心にした民芸調のインテリアであっても、同じ不自然さを惑いしさせる。
ちょうどあの倉敷の、意識的にアレンジされた街並みのような感じで、どうも落ち着かないのである。
洋風も和風も不自然となると、いったいわれわれはどんな住まいに住めばよいのか、ということになる。
実は、あまり気がつかない間に新しい日本のライフスタイルが生まれていて、それがわれわれの潜在意識の中にあるからかもしれない。
それらとずれるとホンネのところで違和感を感じながら、表面では劇のように格好良くふるまい、そして疲れる生活となる。
そのライフスタイルとは、なんと家財通貝の売り上げから察せられる。
その一つが、あのやぐらこたつである。
なるほどリビングは夕タミが板張りやカーペットになっただけの茶の間であり、こたつの生活が似合う。
ひたひたと音をたてるスリッパ。
これは、洋風の住まいにも和風の住まいにもそぐわない。
ドレスやスーツを着てスリッパで行うパーティは、いかにも不自然である。
従って、欧米ならば日常的なホームパーティ程度ですむものが、わが国ではどうしてもホテルやレストランで開かれることになり、夫婦間の交流がともすれば大げさでよそよそしくなる。
日本の家庭でホームパーティをやる場合、リビングの真ん中や座敷に大きなテーブルを置くと、それだけで自然な感じになる。
この周りにべたっと坐ってワイワイやる図が、わが国ならではのパーティなのかもしれない。
パーティ着は当然ドレスや背広ではない。
この大テーブルはふだんは夫の書斎机と妻の作業台であっていい。
下の引き出しからいろいろな道具や材料が出てくる。
パーティの話題の中に、これら夫婦の趣味を登場させるのも楽しいことではないか。
本音のパーティライフが大切だ。
住まいのリフォームは〝リ・ホーム〟いざ、リビングを家族のものとして解放してみると、意外に上手に使えない。
いったい何をやったらいいのかもわからない。
また、会社の仕事や勉強に追われ、昨今の家族はとても気楽にリビングでくつろいでいるような心の余裕がない。
かつて「楽しい茶の間」という番組があった。
茶の間のこたつに家族が集まり、何をするでもなく一緒にいるだけで、家族の一人ひとりに気持ちが通い合っているのが印象的だった。
実はこれこそがリビングの基本形だったはずなのだが、今は単なるテレビの視聴室か来客のための応接室のような感じがする。
家族が集まりテレビを見ることが家族の団らんのように思われているが、これも疑わしい。
家族の意識はテレビに集中し、家族同士の心はそっぽを向いてしまう。
それではと、パーティを開いてみても、なんだか、劇やドラマみたいで、ぎこちない。
ソファーセットに座ってみても、家族同士だとかしこまってしまう……。
リビングの中央に対面式で置かれたソファに家族が向かい合って座るのは、たぷん深刻な問題のためか、子供を叱る時くらいだろう。
ここでLIFE・INGをもう一度考えてみよう。
生活するところである。
なるほどリビングとは、何もパーティや家族が集まって話し合うだけの場所ではないのだ。
家族がいろいろな生活をするところだと解釈するとわかりやすい。
そこで、リビングをちょっと工夫してみよう。
今までの形式的に置かれているソファを部屋のコーナーに追いやり、その代わりに巨大なテーブルを部屋の中央に置くのだ。
家族四人なら机の四面を一人ひとり専用の場にする。
そして各自が趣味や仕事や読書を自分の専門コーナーでやればよいのである。
妻は、アイロンがけやつくろいものをしたり、洗濯物をたたんだり、手芸を楽しむ。
夫も手紙を書いたり、本を読む。
釣り道具やゴルフ道具の手入れをしてもよい。
テーブルばかりか本格的に機織り機を入れて、タピストリーやマットを織ったらどうだろう。
これはまさにリビングの中心的存在となり、娘でもいたら弟子入りしてくるに違いない。
リビングの演出とは、何もわざと行うものではない。
装置も特別に必要としない。
要は夫婦がいて、その夫婦がしたいことをごく自然にやっているだけですべてが解決する。
子供もそこに自然に参加してくるし、知らず知らずの間に親のやっていることを学習して、学校の勉強以上の知恵を持つようになる。

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